目次
- 【結論】営業の「自立自走」は、最前線=現場に“考える力”と“決める力”を取り戻すことから始まる
- 「現場」で何が起きているのかを正確に見て、そこで判断し、自ら動く=自立自走の文化が必要です。
- 【第1章】縮小市場の中での違和感──「これでは意味がない」と感じた現場
- 【第2章】権限移譲の決断──判断力と裁量を「現場」に返す
- 【第3章】現場を科学する──売場に眠る“本当の売上要因”を掘り起こす
- 【第4章】「現場が変わる」と「組織が変わる」──自立自走チームの実現
- 【第5章】自立自走の本質──信頼と責任のバランス
- 「信頼と責任のバランス」が、自立自走の土台です。
- 【まとめ】営業が自立自走すると、会社は自然と強くなる 営業が自立自走する──この言葉の裏には、現場に寄り添い、信じ、任せるという覚悟があります。
【結論】営業の「自立自走」は、最前線=現場に“考える力”と“決める力”を取り戻すことから始まる
営業組織が真に強くなるためには、上からの指示に従うだけの動き方ではなく、
「現場」で何が起きているのかを正確に見て、そこで判断し、自ら動く=自立自走の文化が必要です。
私が営業マネージャーとして仙台に赴任し、縮小し続けるウイスキー市場で挑んだ戦い。その現場で得た最大の学びは、「権限移譲」こそが、現場の“自立自走”を生み出すトリガーになるということでした。
本記事ではその経験を通じて、営業組織がなぜ、どのようにして自立自走型に進化していったのかを、5つの章に分けて詳しくお伝えします。
【第1章】縮小市場の中での違和感──「これでは意味がない」と感じた現場
2000年代初頭、私はウイスキーを中心としたスピリッツ事業の営業マネージャーとして、仙台エリアのディスカウントストアを担当することになりました。
当時の営業活動の主流は、販促費を用いた月末の押し込みや特売の獲得といった、旧態依然としたやり方。確かに数字は一時的に作れるのですが、そこに「持続可能な成長」はなく、売上が上がっても利益が残らない、在庫が積み上がるといった悪循環を生んでいました。
特にウイスキー市場は、1983年から2007年までの間に実に80%も縮小。そんな厳しい環境下で、「販促費で何とかする」発想には限界があると、肌で感じていました。
【第2章】権限移譲の決断──判断力と裁量を「現場」に返す
そこで私が着手したのが、「販促費の使い方」における権限移譲でした。
従来、販促費の配分はマネージャーが一括管理し、画一的に決定することがほとんどでした。しかし、それでは実際の売場状況や得意先のニーズに応じた柔軟な対応ができません。
私はまず、以下のような仕組みを導入しました:
各製品の利益構造を営業担当に公開
利益から逆算して、販促費の投入判断を「現場」の担当者に委ねる
目指す指標は「売上」ではなく「利益の最大化」
この変化は、担当者の意識を大きく変えました。自分で考え、自分で判断し、その結果に責任を持つことが、現場を動かすエネルギーになったのです。
結果として、販促活動の質は劇的に向上。担当者ごとに異なるアプローチが試され、知恵が持ち寄られ、チーム全体が活性化していきました。
【第3章】現場を科学する──売場に眠る“本当の売上要因”を掘り起こす
次に取り組んだのが、ディスカウントストアという特殊な販路への**「店頭の科学」**でした。
当時の多くの店舗では、「安く仕入れて、安く売る」ことが全てという価値観が支配しており、売れる商品が優位置(最も売れる売り場)にないという現象が頻発していました。なぜなら、仕入れ値の都合や在庫処分の圧力で、売れ筋でない商品が前面に陳列されるという矛盾があったからです。
私は、現場の営業とともに、徹底的に店頭観察を行いました。
売れる商品を、売れる場所に置く
店頭の動線と視認性から「買われる瞬間」をデザインする
この取り組みは、販促費をかけなくても売れる仕組みをつくり、得意先の売上と利益の両方を改善する結果を生み出しました。そして、何よりこの分析と改善プロセスを現場の担当者と一緒に行ったことが、自立自走の加速装置になったのです。
【第4章】「現場が変わる」と「組織が変わる」──自立自走チームの実現
こうした権限移譲と現場主導の仕組み化が進むと、自然とチームの空気が変わっていきました。
会議では“報告”ではなく“提案”が増える
数字を作るのではなく、意味を考えるようになる
他の担当者の工夫に刺激を受けて真似する文化が育つ
こうした現象は、まさに「自立自走」の組織が育ち始めた証でした。
しかも、指示待ちだったメンバーが、得意先から「よく考えてくれているね」と評価され始めることで、自信が芽生え、仕事がどんどん面白くなっていく。この正のスパイラルが、売上以上の価値をチームにもたらしたのです。
【第5章】自立自走の本質──信頼と責任のバランス
ここまでお読みいただいた方にはお気づきかもしれませんが、自立自走は単なる「放任」ではありません。
現場を信じて権限を渡す
しかし同時に、数字と成果への責任は求める
支える仕組みと見える化で、動きを後押しする
この
「信頼と責任のバランス」が、自立自走の土台です。
特に営業の世界では、「決められたことをやる」だけの姿勢では、変化する市場に対応できません。現場に判断の自由と情報を渡すことが、最大の競争力になるのです。
【まとめ】営業が自立自走すると、会社は自然と強くなる
営業が自立自走する──この言葉の裏には、現場に寄り添い、信じ、任せるという覚悟があります。
私が仙台の現場で体験したように、「現場」と「権限移譲」は、自立自走という強い営業チームをつくるための必要条件です。そしてそれが実現したとき、数字は後から自然とついてきます。
自立自走とは、単なる理想論ではありません。現場の真実を見て、動き、仕組みを変えることで、誰でも実現可能な現実的な戦略なのです。
私は、現場の営業とともに、徹底的に店頭観察を行いました。
売れる商品を、売れる場所に置く
数字を作るのではなく、意味を考えるようになる
他の担当者の工夫に刺激を受けて真似する文化が育つ
こうした現象は、まさに「自立自走」の組織が育ち始めた証でした。
現場を信じて権限を渡す
しかし同時に、数字と成果への責任は求める
支える仕組みと見える化で、動きを後押しする
この
営業が自立自走する──この言葉の裏には、現場に寄り添い、信じ、任せるという覚悟があります。
自立自走とは、単なる理想論ではありません。現場の真実を見て、動き、仕組みを変えることで、誰でも実現可能な現実的な戦略なのです。
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