メンバーと築いた組織運営の核心──”自律自走する営業”をつくる6つのポイント

サントリーで43年間、私が何度も全国トップの結果を出せた組織に共通していたことは何か。一言で言えば、「仕組み」があったから、個人の力に頼らずとも勝てたということです。

本記事では、実際にメンバーと築き上げた組織運営の核心を、6つのポイントにまとめてお伝えします。

「ただ売上高を求められるよりも、自分の営業活動が会社にどのような影響を与えているのかを想像しつつ、営業活動を組み立てる行為そのものが新鮮であり、嬉々として取り組んだことを覚えています」
— チームメンバーの証言より

1. 評価軸を「売上高」から「現場利益」に変えた

従来の営業現場では「売上高至上主義」が支配していました。月の数字を追いかけることに必死で、本当に会社の利益に貢献しているのか見えない状態が続いていたのです。

私が変えたのは評価軸です。商品一つひとつの利益から販促費を差し引いた「現場利益」を最大化することをKPIに据えました。これにより、入社2〜3年目のメンバーでも会社経営の視点で営業活動を組み立てられるようになりました。

仕組み化前

売上は上がったが利益は減少。販促費の使い方が場当たり的で、顧客への提案が価格交渉中心の消耗戦に。

✓ 仕組み化後

京都滋賀エリアのスーパー担当で前年比2倍を達成。メンバーの内発的動機が向上し、顧客との関係が対立から協力へ。

2. 権限委譲は「丸投げ」ではなく「段階的移行」だった

神戸でRTDのブランドマネジメント業務を一人のメンバーに任せたとき、最初は毎回の会議に同席し「あれはどうなってる?これは?」と進捗を細かく確認しました。しかし徐々にサポートを減らし、最終的には彼からの報告だけで十分な状態になり、私は会議の場にも来なくなりました。

これが私流の権限移譲です。「本当につまずいたときには適切なタイミングでアドバイスを与える」という安全網を設計しながら、自立を促していく。放任でも管理でもない、絶妙なバランスが鍵でした。

3. 「扱いづらいタイプ」こそ宝物という発想

少し扱いづらいタイプのメンバーに対しても、私は頭ごなしに否定するのではなく、「むしろそれをうまく転がして、持ち前のやる気をがむしゃらに発揮できる方向へと導く」ことを心がけました。

一段、二段上のレベルの仕事を積極的に任せることも珍しくありませんでした。入社2〜3年目のメンバーに全社横断プロジェクトの代表を任せる。その挑戦の中でこそ、本人も気づかなかった能力が開花するのです。

4. 「観察眼」が組織の成長スピードを左右する

同じ指導を受けても、伸びる人と伸びない人がいます。その違いを生むのが「観察眼」です。営業同行の場で、メンバーがどのように話を進め、どのような質問をし、顧客の反応に対してどう対応しているかを克明に観察しました。

「あのとき、顧客の○○という発言に、H君は少し戸惑っていたように見えたけど、どう感じたんや?」という具体的な問いかけにより、本人自身に気づかせることを重視していました。ふとした人のふるまいや発言から瞬時に本質を見抜く力——これが適材適所の人員配置と、個人の成長加速につながっていきます。

5. 「仕事の本質は何か」を問い続けるリーダーシップ

単に上からの指示を伝えるだけでなく、「なぜ今これが重要なのか」「私たちはどうあるべきなのか」といった、自身の考えや情熱が込められた言葉で語りかけることを大切にしていました。

私たちが最も重視したのは「仕事の本質は何か?」という問いかけをメンバーに継続することでした。指示を待つのではなく、自分たちの頭で考え、チーム全員で議論を重ねる組織へと変化していきます。答えを与えるのは簡単ですが、それではメンバーの思考力は育ちません。「すぐに答えを与えるのではなく、考える時間を提供する」姿勢が、自律的に動けるチームを生み出す根幹でした。

6. 心理的安全性と「否定しない文化」が自走を生む

「基本的にメンバーのやることを否定しない。サジェッションは与えるが、厳しく追及するようなことはしない」「問題があると気軽に同行してくれる」「仕事を一緒に楽しむことができる」——これらがメンバーの証言から浮かび上がった、私たちの組織の姿です。

失敗を恐れず挑戦できる環境があってこそ、メンバーは自分の頭で考え、行動し続けます。そして組織は「メンバーが勝手に自分で考えて動くようになって、僕の仕事がなくなるのが理想だ」という状態へと近づいていきました。

まとめ:No.1組織が持っていた6つの共通点

  1. 評価軸を「売上高」から「現場利益」に転換した
  2. 権限委譲を段階的プロセスで設計した
  3. 個性を活かし、「扱いづらいタイプ」も宝物にした
  4. 観察眼を活かした適材適所と個別指導を徹底した
  5. 「仕事の本質は何か」を問い続けるリーダーシップを実践した
  6. 心理的安全性と否定しない文化で自走チームを育てた

これらは決して特別な才能や運の産物ではありません。明確な仕組みと、それを実践する強い意志があれば、どの組織でも再現可能です。

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