「アサヒやキリンは知っているが、サントリーは一度も来たことがない」

支店長時代の実話シリーズ・愛媛編 第2話

前回は、全国最下位に近いシェアの中で、酒屋を回るほど「この戦い方では届かない」という実感だけが積み重なっていった話をしました。
突破口は、酒の商談の場ではなく、まったく別のところに転がっていました。

思わぬところに転がっていた糸口

きっかけは、東京で開催される「地方銀行フードセレクション」——全国の地方銀行が推薦する特産品・食品を集めた最大級の展示商談会でした。地元有力地銀もこの博覧会に出展していました。
そこで紹介されていたのが、地域ブランドの畜産品です。

当時、全国チェーンの飲食店を攻略するために各地の名産品を探していた社内の担当者が、この畜産品に目をつけました。
地銀を介して販路や県の後押しの状況を確認しようと、行政への接触を試みたのです。

けんもほろろ、の一言

県庁で地域産品振興を担当する幹部からの第一声は、こうでした。
「アサヒやキリンは知っているが、サントリーが来たのは今回が初めてだ」

これまでの愛媛での立ち位置を、そのまま突きつけられたような一言でした。
正直、ここで終わってもおかしくない反応です。

それでも、生まれた協力関係

それでも、地域ブランド品を全国に広めたいという行政側の思いは強いものでした。
サントリーが持つ全国チェーンへの販路は、その思いにとって無視できない魅力だったのだと思います。

やり取りを重ねるうちに、次第に「一緒にやっていこう」という空気が生まれていきました。
そして、県のトップにも同席いただいての試食会という形で、行政への接近に初めて成功したのです。

振り返ると、これは酒の商談としてではなく、「相手の課題を一緒に解決する」という入り方をしたからこそ開いた扉だったと思います。

次回:この地域ブランド品を通じて親しくなった幹部から、思いがけない助言をもらう話をお伝えします。

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