「プレモル100ケース」——ある会長からの、思いがけない発注

営業って、偶然がいっぱいですよね ④

「プレモル100ケース」——ある会長からの、思いがけない発注

ある日、まったく予期していなかった話が舞い込んできました。

もともと、当社の役員がご縁をいただいて、未上場のある大手食品会社の会長が中心となって活動されている会に入会させていただいていました。面識はその程度で、まだ深いお付き合いというわけではありませんでした。

きっかけは、サントリーとキリンの合併話が破談になったというニュースでした。

未上場を貫いてこられたその会長は、「合併すれば、サントリーも上場せざるを得なくなり、未上場でなくなってしまうのではないか」ととても心を痛めておられたそうです。それだけに、破談のニュースをご自身のことのように喜んでくださり、会長ご本人から当社に対して、プレミアム・モルツ100ケースというまとまった注文が入りました。

こちらから営業をかけたわけではありません。まったく別の場所でのご縁とニュースが、思いがけない形で自社に返ってきたのです。

壁は厚くても、そこで諦めない

これほどのご縁をいただいたのだから、地元の優良企業に接触できる絶好のチャンスだと思い、ぜひ会長にご挨拶をと動きました。ところが、壁は思いのほか厚く、何度アプローチしても秘書室長までしか話が通らず、会長ご本人にたどり着ける雰囲気ではありませんでした。

一度は接触を諦めかけました。そんな時、100ケースへのお礼状を当社の役員が出すという話を耳にしました。ここで諦めるわけにはいきません。その文面に「松山支店長が挨拶をしたいと言っている」という一文を、無理をお願いして入れてもらいました。

すると、役員からの一言に会長は即座に反応してくださり、今度は秘書室長からこちらに直接連絡が入り、あっという間にアポイントが取れました。支社長とともに、無事に表敬訪問が実現しました。

ゴルフ好きという一言から広がった縁

表敬訪問でお話しする中で、会長が57歳からゴルフを始められ、今ではシングルの腕前になられたことを知りました。何気ない世間話のつもりでしたが、この情報を役員に伝えたところ、「サントリーレディースオープンのアマチュア・プロ戦にご招待してはどうか」という提案をいただきました。

会長はこれをとても喜んでくださり、全社員の慰安会や、その会社の40周年記念レセプションで出すお飲み物に、サントリー製品を指名してくださるようになりました。「サントリーの商売にどうぞ使ってくれ」というありがたい言葉までいただいたのです。

40周年のレセプションは参加者3,800人という規模で、しかも神戸のホテルで開催されたこともあり、近畿本部長が改めてお礼に訪問するほどの出来事になりました。

偶然は、待っているだけでは掴めない。壁の前で立ち止まらず、もう一押しできるかどうか。

受け取った偶然を、そのままにしない

これまでご紹介してきた3つのエピソードは、いずれも自分から一歩を踏み出したことで生まれた偶然でした。今回は少し違います。最初のきっかけは向こうからやってきました。

でも、それをそのまま受け取るだけでは、一度きりのご注文で終わっていたはずです。秘書室長止まりで諦めかけても、もう一手間かけてご挨拶に伺ったからこそ、ゴルフの話が生まれ、レセプションでの指名につながり、その後も会長が主催されるコンペやお取引先の会合など、様々な場面でご指名をいただく関係にまで育ちました。

自分から動いて手数を出す偶然もあれば、向こうからやってくる偶然もある。どちらにしても、それをどう扱うかで、その後の展開は大きく変わるのだと思います。

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