こうしたお声がけについては、相手の規模の大小にかかわらず、基本的にすべてお受けすると決めていました。すぐに数字に直結しなくても、人とのつながりが何を運んでくれるかは分からない——そう考えていたからです。
松山支店長として赴任してまだ日が浅い頃、地域の情報誌から取材の依頼が来たのも、そうした一つでした。取材そのものは、こちらの仕事の話を淡々とお話ししただけで、特別な手応えがあったわけではありません。
けれど、この取材をきっかけに知り合った方と、その後テニスをご一緒するようになりました。仕事の話をするでもなく、ただ純粋に楽しい時間を過ごす間柄です。
その縁が思わぬ形でもう一度顔を出したのは、実はつい最近のことです。今回、書籍の執筆にあたって当時の関係者の方々に話を伺う中で、長らく連絡が取れずにいたそのテニス仲間と、ある対談相手の方の仲介で偶然つながることができました。しかも、その場で取材のアポイントまで決まってしまったのです。
数字にもならず、狙って作った縁でもありません。ただ目の前のお声がけに誠実に応じていただけの関係が、何年も経ってから、今度は本の取材という形で再びつながった——偶然は、待っているだけでは起きませんが、誠実に積み重ねた先で、思いがけないタイミングで戻ってくることがあるのだと、この出来事はあらためて教えてくれました。
「動かない石を動かす」——愛媛編、書籍化決定
元サントリー松山支店長が、答えのない市場でどう動いたか。当時の関係者への取材をもとに、ただいま執筆を進めています。

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