「自分が現場に出ているうちは、数字は何とかなる」——そう感じている社長は少なくありません。ですが、もしあなたが一週間まったく動けなくなったら、会社の売上はどうなるでしょうか。その答えに少しでも不安がよぎったなら、この記事はあなたのための話です。
中小企業の社長の多くは、誰よりも現場を知り、誰よりも動いています。一番大きな取引先は社長が担当し、難しい商談は社長が出て行き、現場が止まれば社長が駆けつける。それは紛れもなく、会社を支えてきた強さです。
けれど、その強さが、いつの間にか会社の”いちばんの弱点”に変わっていることがあります。今日はその、少し言いにくい話をさせてください。
目次
01「自分が頑張っている証拠」が、実は危険信号
次のような状態に、心当たりはないでしょうか。
こんな状態になっていませんか
- 主要な取引先は、結局すべて社長が担当している
- 社長が同行しないと、大きな商談がまとまらない
- 「あの件どうなった?」と社長が聞かないと、話が前に進まない
- 社長が数日不在にすると、現場の動きが目に見えて鈍る
- 営業の数字を頭の中で把握しているのは、社長一人だけ
もし複数当てはまるなら、それは社長が怠けているからでは、もちろんありません。むしろ逆で、あまりにも有能で、あまりにも頑張ってきた結果です。だからこそ厄介なのです。本人にとっては「自分が会社を回している実感」そのものなので、問題だと気づきにくい。
02会社の最大のボトルネックが、社長になっている
会社の数字が、社長一人の動きに連動している。これは裏を返せば、社長の時間と体力の上限が、そのまま会社の成長の上限になっているということです。
どれだけ優秀でも、一人が回せる取引先の数、出られる商談の数には限界があります。社長がボトルネックになっている会社は、社長がもう一段頑張る以外に伸びしろがなくなり、やがて「忙しいのに、これ以上大きくならない」という壁にぶつかります。そして社長は、現場から離れられないまま歳を重ねていく——。
このまま放置するとどうなるか。社長が倒れた瞬間、会社の営業が止まります。事業承継のときに「引き継げるものが社長の頭の中にしかない」という事態になります。そして何より、社長自身がいつまでも現場を手放せず、本来やるべき経営判断に時間を割けないままになります。
03悪いのは「人」ではなく「仕組みがないこと」
ここで大切なのは、これは社員の能力の問題でも、社長の頑張りが足りない問題でもない、ということです。社長が動かないと止まるのは、「社長がいなくても成果が出る仕組み」がまだ会社にないから、ただそれだけです。
逆に言えば、仕組みさえつくれば、変えられます。誰が担当しても一定の成果が出る判断軸をつくり、社長の頭の中にあるものを言葉にして引き継いでいく。これは才能ではなく、設計の問題です。設計の問題であれば、後からでも変えられます。
04「社長が抜けても回る組織」は、実際につくれる
私はサントリーで43年間、ルート営業の現場に立ち続けました。その中で、全国最下位だった仙台の組織を、二年で全国トップに変えた経験があります。
立て直しの過程でやったのは、私が走り回ることではありませんでした。成果を生む行動を仕組みにし、メンバーが自分で判断して動けるようにすること。最終的に目指したのは「メンバーが勝手に考えて動くようになって、私の出番がなくなる」状態です。リーダーが抜けても回る組織は、根性ではなく仕組みでつくれる——これは現場で実証してきたことです。
同じことが、中小企業の営業組織でも起こせます。社長が現場の主役であり続ける会社から、社長がいなくても数字が積み上がる会社へ。そうなって初めて、社長は本当の意味で経営に専念できます。
05まず、自社の「どこから変えるか」を整理してみませんか
とはいえ、「では何から手をつければいいのか」は、会社によってまったく違います。取引先の構造も、社員の顔ぶれも、社長が抱え込んでいる業務も、一社一社まるで違うからです。本やセミナーの一般論だけでは、自社の最初の一手は見えてきません。
そこでまずは、あなたの会社が「社長依存」のどの段階にあるのか、どこを最初に手放せそうかを、一緒に整理するところから始めるのが近道です。答えを出す前に、現状を正しく見るだけでも、進む方向はずいぶん見えてきます。
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Sales Spark 代表/浅井清司
『絶対に予算達成するルート営業の仕組み化』(セルバ出版)著者

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